
非居住者の確定申告はどうなる?方法を徹底解説!
海外移住などにより日本の非居住者となった際に、気になるのが税金の収め方ではないでしょうか?中でも年に1回の確定申告はどうせればいいのか、頭を悩ませている人も多いかもしれません。
この記事では、非居住者の確定申告について徹底解説。そもそも確定申告は必要なのか、またどうやってやればいいのか、非居住者なら必ず知っておきたい内容を分かりやすくまとめました。
加えて、海外在住者に便利なWiseマルチカレンシー口座についても紹介していますよ。
目次 |
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💁♀️そもそも非居住者って誰?
海外在住者の確定申告を考えるには、まず税法上の「居住者」と「非居住者」の規定をしっかり理解しておく必要があります。
簡単に言えば、日本の「居住者」とは
- 現在まで継続して1年以上日本に居住している人
- 生活の中心(職業や扶養家族など)が日本にある人
を指します。より詳しい区分は非居住者とは?定義をわかりやすく解説!の記事で解説しているので参考にしてください。¹⁻²
この居住者の反対で、生活の中心が海外にあり、また現在までに続けて1年以上日本に住んでいない場合は「非居住者」にあたることになります。
🔍非居住者も日本の確定申告をする必要がある?
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)に生じた全ての所得とそれに対する所得税の額を計算し、納税の過不足を精算する手続きです。
確定申告の手続きは通常2~3月に行われ、前年分の所得と税金を計算する仕組みになっています。³⁻⁴
では、日本の「非居住者」である場合も確定申告を行う必要があるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
非居住者でも確定申告は必要?
結論から言えば、非居住者であっても確定申告が必要になる場合があります。本来、非居住者は日本における課税の対象にはならず、確定申告は不要です。
しかし、非居住者であっても国内源泉所得がある場合は確定申告を行う必要が出てきます⁴。
しかし、これでは何のことか分かりにくいですよね。以下では、より詳しく見ていきます。
国内源泉所得って何?
国内源泉所得とは、日本国内に発生源がある所得のことを指します。国税庁の定義では細かく15種類に分けられていますが、主なものとしては
- 国内にある資産の運用・保有・譲渡により生ずる所得
- 恒久的施設帰属所得(日本国内に恒久的施設がある場合の事業所得)
- 組合契約事業から生ずる利益の配分
- 国内にある土地等の譲渡による対価
- 不動産の賃貸料等
- 利子
- 配当
- 生命保険契約等に基づく年金等
などが挙げられます⁵。「日本国内に物理的な発生源がある所得」と覚えておけば分かりやすいですが、さらに詳しい国内源泉所得の定義は国税庁のページで確認してください。
これらの国内源泉所得は、確定申告が必要な場合(総合課税)と、既に源泉徴収されており別途に確定申告をする必要がない場合(源泉分離課税)があります。
詳しい区分は国税庁が発行する確定申告の手引き(9ページ)で確認できます⁴。
具体例 |
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簡単にまとめると、非居住者であっても何らかの形で日本国内において所得が生じた人は、原則的に確定申告を行う必要があります。
ただし細かな規定による例外もあるため、詳細は国税庁が発行する確定申告の手引きを確認するか、税理士に相談しましょう。
✍️非居住者の日本の確定申告のやり方
では、非居住者の確定申告が必要になった場合、実際にどう行えばよいのでしょうか?
確定申告はネットで海外からでもできる?
残念ながら、非居住者はインターネットから確定申告をすることはできません。
確定申告にはe-Tax(イータックス)と呼ばれる、インターネットで申告書を作成して提出する仕組みがあります。「e-Taxを使って海外から確定申告しよう」と考えている人もいるかもしれませんが、e-Taxを使って確定申告ができるのは日本に住民票を残している人に限られています。
e-Taxで確定申告を行うには、マイナンバーカードに付帯している署名用電子証明書が必要です⁷。しかし、日本の住民票を抜いてしまうと、この電子証明書が無効になってしまいます。そのため、e-Taxが利用できなくなってしまうのです⁸。
日本に住民票を残したまま海外に暮らしている人もいるかもしれません。しかし、マイナンバーカードの署名用電子証明書は事前に市役所等での申し込みが必要なことに注意しましょう。
原則として、非居住者はe-Taxを使ったオンラインでの確定申告はできない、と覚えておくといいですね。
確定申告のために日本に帰国する必要がある?
では、非居住者の確定申告はどうすればよいのでしょうか。確定申告の時期に帰国できるのであれば、本人が直接税務署で確定申告を行うことができます。しかし、必ずしも確定申告のために帰国できるとは限りませんよね。
この場合は、納税管理人の制度を利用することになります。これは、自分に代わって代理人に確定申告を行ってもらうことを指します。
納税管理人を選定する方法
納税管理人は家族や友人、税理士などの個人、または籍を置いている会社などの法人を指定することができます。注意が必要なのは、納税管理人を通して確定申告をする場合は事前に**「所得税の納税管理人の届出書」を所轄の税務署に提出する必要がある**ことです。⁹
提出方法は簡単です。
- 所得税の納税管理人の届出書をダウンロードし、記入
- 納税地を所轄する税務署に提出
- ①税務署の窓口に持参する
- ②税務署あてに郵送する
- ③税務署の時間外収受箱に投函する
手数料もかかりません。全国の税務署の所在地は国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」のページから検索できます。
この手続きは、必ず日本を出国する前に行う必要があります。海外移住前の準備として、納税管理人を制定することを忘れないようにしましょう。
✅Wiseマルチカレンシー口座:国境を超えて活躍する人へ
海外に暮らす人は、国や通貨を超えたお金のやり取りが多いのではないでしょうか。そんな国境を超えて活躍する人には、Wiseマルチカレンシー口座が便利かもしれません。
⭐️Wiseマルチカレンシー口座の機能 |
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Wiseマルチカレンシー口座は、日本で海外通販を利用する人や、日本以外の拠点を持って生活・ビジネスする人に特に便利でしょう。
例えば、海外送金をする場合、日本の銀行と比べると以下のようにお得になることが多いです。世界70カ国以上に実際の為替レートと格安の送金手数料で送金できるのが特徴です。
もちろん、Wiseマルチカレンシー口座は海外送金以外もできます。海外送金の受け取りや多通貨を1つの口座で管理できるなど、海外移住時にぴったりな機能が詰まっているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
❓非居住者の確定申告に関するよくある質問
Q. 年の途中で海外に移住したらどうなる?
確定申告は、前年の1~12月分の所得に対する税金を調整する手続きです。そのため、年の途中で海外に移住し、居住者から非居住者になった場合はどうすればよいのでしょうか。
具体例で考えてみましょう。Dさんは2020年の8月まで日本企業に勤めていましたが、9月から海外に移住し非居住者となりました。
この場合、2020年1月~8月は全所得、9月~12月は国内源泉所得のみが課税対象となります。基本的には出国前に納税管理人を選定し、2021年の春にまとめてこれらを確定申告することになります。
しかし、出国後は国内源泉所得が一切生じないことが分かっている場合は、日本にいる間に準確定申告を行うことも可能です¹º。準確定申告について詳しくは国税庁の「国外転出時課税制度関係の確定申告書等記載例」のページを参照してください。
Q. 源泉徴収されている場合でも確定申告は必要?
国内源泉所得の中には、既に源泉徴収されているものもあるかもしれません。例えば、日本に所有している不動産の賃貸料からは20.42%の源泉徴収が行われます¹¹。
既に源泉徴収されている時でも確定申告が必要な場合は多いので注意が必要です。確定申告により納税額を調整し、追加分を納付するか還付を受けることができます。より詳しくは国税庁の「確定申告が必要な方」のページを参照したり、税理士に相談するなどしましょう。
まとめ
以上、非居住者の確定申告について見てきました。原則として、非居住者であっても国内源泉所得がある場合には日本における確定申告が必要になります。非居住者はインターネットからの確定申告はできないため、海外移住前に納税管理人を指定しておくことが重要です。
しかし、これはあくまで原則であり、ケースによっては確定申告が不要になることもあります。分からないことがある場合は、税理士に相談することがおすすめです。
国境や通貨を超えたお金のやり取りが多い人は、ぜひWiseのマルチカレンシー口座を検討してみましょう。複数の通貨を同時に管理でき、分かりやすい両替手数料でいつでも両替できます。また海外送金、海外送金の受け取りにも便利に使えますよ。
ソース
- No.2012 居住者・非居住者の判定(複数の滞在地がある人の場合)|国税庁
- No.2875 居住者と非居住者の区分|国税庁
- 初めて確定申告される方へ:令和2年分 確定申告特集
- 確定申告の手引き
)5. No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)|国税庁 - 海外移住後の日本における税金(配当)について | コラム | 資産運用・相続税対策専門 ネイチャーグループ
- 個人が利用可能な電子証明書には何がありますか。| 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
- 総務省 - よくある質問(FAQ)
- [手続名]所得税・消費税の納税管理人の届出手続|国税庁
- No.1920 海外出向と所得税額の精算|国税庁
- 非居住者の日本不動産に関する確定申告
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