非居住者への支払いにも源泉徴収は必要?わかりやすく解説!

Yumiko Kijima

最近では、海外在住の個人や外国法人とビジネスを行うことも増え、国境を超えた給与や報酬などの支払いも珍しくありません。そんな時に気になるのが、日本の非居住者に対する源泉徴収の仕組みではないでしょうか?

この記事では、そんな非居住者への源泉徴収の仕組みを詳しく解説しています。

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目次

非居住者・源泉徴収とは何か理解しておこう

🕵️‍♀️非居住者とは誰のこと?

まず税法上の「居住者」と「非居住者」の規定をしっかり理解しておきましょう。

簡単に言えば、日本の「居住者」とは

  • 現在まで継続して1年以上日本に居住している人
  • 生活の中心(職業や扶養家族など)が日本にある人

を指します。より詳しい区分は非居住者とは?定義をわかりやすく解説!の記事で解説しているので参考にしてください。

反対に、生活の中心が日本にはなく、かつ現在までに続けて1年以上日本に住んでいない場合は「非居住者」にあたると考えられるでしょう。¹⁻²

📑そもそも源泉徴収って何?

源泉徴収とは、給与や報酬などの所得を支払う人があらかじめ所得税の額を計算し、支払金額からその額を差し引いて国に納付する制度のことです。³

つまり、源泉徴収を行う必要がある納税義務者は、給与などを支払う側ということになります。源泉徴収が行われる場合、給与などを受け取る人は所得税分が引かれた金額を受け取ります。⁴

非居住者・外国法人への支払いに源泉徴収は必要?

では、海外在住者や外国法人に支払いをする際、源泉徴収をする必要はあるのでしょうか?

国税庁のページには、以下のようにあります。

非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」といいます。)に対して、国内において源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収し、納付する義務があります。

国内源泉所得の支払が国外において行われる場合には、原則として源泉徴収の必要はありませんが、その支払者が国内に住所若しくは居所を有し、または国内に事務所、事業所その他これらに準ずるものを有するときは、その支払者がその国内源泉所得を国内において支払ったものとみなして源泉徴収をする必要があります。

つまり、原則として、支払うお金が国内源泉所得に該当し、また支払う側が国内においてその支払いをする場合、支払者は源泉徴収をして税を納付する義務があると言えるでしょう。

国内源泉所得とは、日本国内に発生源がある所得のことを指します。つまり、非居住者への支払いであっても、日本国内で生じた所得がある場合は所得税の支払い義務が生じ、支払者による源泉徴収が必要になることもあるということです。

⚠️注意:具体的なケースについては、税理士に相談するか、または国税庁の税についての相談窓口を利用してみるといいでしょう。

📊国内源泉所得の種類と税率

以下で国内源泉所得の種類と、それぞれに対する税率を見ていきましょう。⁶⁻⁸

No.種類源泉徴収税率
1資産の運用・保有・譲渡による所得不要-
2組合契約事業の利益の配分20.42%
3国内の土地等の譲渡による所得要(※)10.21%
4人的役務の提供事業の所得20.42%
5不動産の賃貸料要(※)20.42%
6利子15.315%
7配当20.42%
8貸付金利子20.42%
9工業所有権等の使用料20.42%
10給与その他人的役務の提供に対する報酬、公的年金等、退職手当等20.42%
11事業の広告宣伝のための賞金20.42%
12生命契約保険に基づく年金20.42%
13定期積金の給付補てん金15.315%
14匿名組合契約に基づく利益の分配20.42%
15その他不要-

※土地や不動産による所得は、例外として源泉徴収が不要な場合もあります。より詳しくはこの記事後方で解説しています。

国内源泉所得は大きく15種類に分けられています(より詳しい規定は国税庁のページ「国内源泉所得の範囲」で確認できます)。1と15を除くほぼ全ての国内源泉所得が源泉徴収の対象となります。

非居住者に対する源泉徴収の税率は、所得の種類によって異なります。

✍️源泉徴収額の計算方法

源泉徴収税額=国内源泉所得×税率と計算できます。

具体例を見てみましょう。

10万円の報酬を非居住者に支払うとします。

  • 源泉徴収額=100,000円×20.42%=20,420円
  • 非居住者が実際に受け取る金額=100,000円-20,420円=79,580円

となります。


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非居住者に対する源泉徴収の方法ーいつ、どうやって?

非居住者であっても、国内源泉所得に該当するほとんどの場合は源泉徴収が必要になることが分かりました。では、支払者はいつどのように源泉徴収を行えばよいのでしょうか?

源泉徴収は給料を支払うタイミングで行います。そして、徴収した月の翌月10日までに必要書類を添えて金融機関や所轄税務署の窓口、またはe-Taxで納付するのが決まりです。

🙋‍♂️源泉徴収票は必要?

非居住者から源泉徴収した税を納付する場合、源泉徴収票を添付する必要はありません。代わりに、納付書(非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書)が必要です。⁹

納付書の様式は国税庁の「納付書」ページからダウンロードできます。

加えて1月には、前年分の納税合計額を記載した支払調書(非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書)の提出も必要です。¹⁰

非居住者の源泉徴収は免除できる?

海外在住者への支払いであっても、場合によっては源泉徴収が必要なことがわかりました。しかしこの場合、海外在住者の居住国でも同所得に対する課税義務が生じることがあります。

このような二重課税を防止するために、日本は世界の多くの国と租税条約を結んでいます。在住国との間に租税条約が結ばれている場合、源泉徴収が免除になることもあるので国税庁の租税条約に関するページで規定を確認しておく、または専門家に相談するのもいいかもしれません。

租税条約による源泉徴収の免除を受けるには「租税条約に関する届出書」を提出する必要があります。¹¹

🏢「租税条約に関する届出書」の提出方法

「租税条約に関する届出書」の提出方法は以下の通りです。非居住者自身が記入し、支払者を通じて所轄の税務署に提出します。¹²

👀あとから源泉徴収分の還付を受けることはできる?

源泉徴収後に「二重課税されていた!」と気づくこともあるかもしれません。支払いを受けた後に租税条約を適用できると知った場合、源泉徴収分の還付を請求することができます。

還付を受けるためには、「租税条約に関する届出書」と共に「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書」を支払者を通して税務署に提出します。(様式は国税庁のページ「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求」からダウンロード)¹³

不動産に対する源泉徴収はどうなる?

海外在住でありながら、日本に不動産を所有し所得を得ている人も多いかもしれません。所有している不動産の賃貸や売却によって生じる不動産所得に対する源泉徴収はどうなるのでしょうか?

結論を言えば、一定の条件に該当する場合は、源泉徴収が必要になります。¹⁴-¹⁵

  • 賃貸の場合は、20.42%の源泉徴収が必要
    (ただし個人が自分または親族の住居用に借りている場合は源泉徴収不要)
  • 購入の場合は、10.21%の源泉徴収が必要
    (ただし個人が自分または親族の住居用に買った場合かつ1億円以下の場合は不要)

より詳しくは、国税庁のページ「非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき」および「非居住者等から土地等を購入したとき」 を参照してください。

非居住者の不動産所得に対する源泉徴収は細かな決まりが多いため、個々のケースは、税理士または国税庁の相談窓口から相談するといいでしょう。

退職金に対する源泉徴収はどうなる?

海外駐在員など非居住者に対して退職金を支払う場合は、国内における勤務期間に対して20.42%の源泉徴収が原則必要とされています。¹⁶

ただし、退職金を受け取る非居住者が日本企業の役員である場合は、国内・海外勤務期間に関わらず、退職金の総額が国内源泉徴収とみなされます。つまり、原則として支払い総額に対して20.42%の源泉徴収が必要となります。¹⁷

より詳しくは、税理士や国税庁の相談窓口から相談してみましょう。

まとめ

以上、非居住者に対する源泉徴収の規定を詳しく見てきました。原則として、非居住者に支払う報酬が国内源泉所得に該当する場合は源泉徴収が必要になると覚えておきましょう。ただし、源泉徴収の要不要や税率、また免除や還付の制度に関しては細かな規定が多いため、詳しくは税理士や国税庁などに相談することをおすすめします。

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ソース

  1. No.2875 居住者と非居住者の区分|国税庁
  2. No.2012 居住者・非居住者の判定(複数の滞在地がある人の場合)|国税庁
  3. 源泉所得税|国税庁
  4. No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
  5. No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ|国税庁
  6. No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)|国税庁
  7. No.2884 源泉徴収義務者・源泉徴収の税率|国税庁
  8. 確定申告の手引き
  9. 納付書の記載のしかた(非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書)|国税庁
  10. [手続名]非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書(同合計表)|国税庁
  11. 租税条約に関する資料
  12. No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)|国税庁
  13. [手続名]租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求|国税庁
  14. No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき|国税庁
  15. No.2879 非居住者等から土地等を購入したとき|国税庁
  16. 非居住者の退職所得の選択課税(従業員の場合) |朝日税理士法人
  17. 海外駐在員の税務海外駐在員に支給する退職金の日本の税務 |朝日税理士法人

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