「審査がゆるい」は本当?ゆうちょ銀行の法人口座を開設するには

Wise

起業したら最初のステップとしてやるべきこと、それが会社の法人口座の開設です。

メガバンク、ゆうちょ、地方銀行、ネット銀行など様々な選択肢がありますが、まず大事なのは自分のニーズをしっかりと把握することです。あなたの会社が一番求めているのは利便性?手数料が安いこと?

この記事では、ゆうちょ銀行で法人口座を開設するにあたって知っておきたいことをまとめました。気になる手数料や法人向けのお得なサービス、必要書類・口座を実際に開設する手順などを説明しています。

また海外とやり取りをする機会が多い企業向けに、リアルタイムの為替レートを使う安価な海外送金サービス「Wise(ワイズ)」についても紹介。

法人がアメリカの銀行口座に1000ドルを送金する場合にかかる手数料(ゆうちょ銀行とWiseで比較)

プロバイダ 送金手数料(中継銀行手数料を含む) 使用する為替レート 合計コスト
ゆうちょ銀行 ゆうちょ銀行 ゆうちょダイレクト2,000円(窓口4,000円 ゆうちょ銀行が独自に定める、為替手数料を含む為替レート 2,000円/4,000円+為替手数料
Wise Wise 214円+0.64% 実際の市場為替レート 918円

(シミュレーションは、2019年5月20日時点)

同じ1000ドルを送金するのでも、銀行・プロバイダによってかかる手数料が違うことがわかります。高額な送金が多い企業には、為替手数料0円のWiseがおすすめです。

では、以下でゆうちょ銀行の法人口座の特徴をそれぞれ見ていきましょう。

ゆうちょ銀行法人口座の手数料体系

法人口座を開設するにあたって、一番気になるのが手数料ではないかと思います。以下はゆうちょ銀行の主なサービスにかかる手数料です。

ゆうちょ銀行法人口座に関わる手数料 料金
振込手数料(ゆうちょ口座あて) 【窓口】144円【ATM】月1回:無料/月2回目以降:123円【ゆうちょダイレクト】月5回まで:無料/月6回目以降:113円【ゆうちょBizダイレクト】100円
振込手数料(他行口座あて) 【5万円未満】216円【5万円以上】432円
ATM入金・出金手数料 無料
インターネットバンキング (ゆうちょダイレクト)無料 (ゆうちょBizダイレクト)【スタンダードプラン】契約料金:5,400円, 月額料金:540円【エキスパートプラン】契約料金:10,800円, 月額料金:1,080円
口座維持費 無料
海外送金手数料 【ゆうちょダイレクト】2,000円【窓口】4,000円(口座間送金)
給与振り込み(ゆうちょBizダイレクトのみ) 【ゆうちょ口座あて】0円【他行口座あて】108円
総合振り込み(ゆうちょBizダイレクトのみ) 【ゆうちょ銀行あて】 年間100万件以上:38円, 年間10万件以上:49円, 年間10万件未満:65円 ※他行あての場合は通常の振込手数料と同じ

ゆうちょ銀行で法人口座を持つ利点の1つは、インターネットバンキングの利用料がほかの銀行に比べて安いということです。

例えば、みずほ銀行の「みずほe-ビジネスサイト」は、ベーシックプランでも初期契約料が27,000円、月間基本料金が5,400円かかります。一方でゆうちょは、簡単な機能のみで良ければ無料のゆうちょダイレクトを利用できますし、ビジネスに特化したBizダイレクトでも、年間利用料を1万~1万5千円以内に抑えることができます。

また、特にゆうちょBizダイレクトを利用した場合、ゆうちょ銀行の口座間でのやり取りが非常に安く行えます。ゆうちょ口座とのやり取りが多い企業の場合、同じゆうちょで法人口座を開設することがお得です。

ゆうちょダイレクトでは、海外送金の手数料も安く設定されています(例えば三井住友銀行のSMBCダイレクトは6,000円と、ゆうちょの3倍の手数料です)。

しかし、気を付けなければいけないのは、海外送金の際は送金手数料のほかに、為替手数料に上乗せされた為替手数料がかかることです。これも考慮に入れると、ゆうちょの海外送金は結構高額になってしまいます。為替手数料なしに、実際の為替レートで海外送金を行いたい企業には、Wiseのビジネスアカウントがおすすめです。

法人・個人事業主の海外送金を簡単に。銀行の最大7倍安い手数料:Wise(ワイズ)

Wiseは、常にリアルタイムの為替レートを使う海外送金サービスです。銀行は「1ドルあたり1円」といった為替手数料を上乗せした独自の為替レートで両替を行っています。送金する金額が大きければ大きいほど、為替手数料も大きくなり、高額な送金を行う企業にとって痛手になりかねません。

対してWiseでは、為替手数料が一切かからず、海外送金にかかるコストを最大で銀行の7分の1にまで抑えることができます。

なぜWiseが安価な海外送金をできるのか、その秘訣は複数の国内送金を活用した新しい送金方法にあります。

Wiseは法人の送金にも対応しています。法人アカウントの送金限度額は1度につき100万円までですが、送金できる回数に制限はありません。また、複数の送金を一括に管理できるAPIなど、企業の利用に便利なサービスも提供しています。さらにWiseでは、無料の請求書テンプレートもダウンロードできます。

世界での利用者は500万人を超え、毎月の総送金額は40億ポンド(約5600億円)に上ります。ワイズ・ジャパン株式会社は関東財務局により、資金移動業者として認可されています。送金時に振り込んだお金は履行保証金として法務局に保全されており、万が一の場合でも保証されているので、安全です。

海外とのお金のやり取りが多い企業は、ぜひWiseの利用を検討してみましょう。

ゆうちょ銀行法人口座サービス

スマホ決済サービスゆうちょPay

ゆうちょPayとは、2019年5月から開始する、QRコードとスマートフォンを使った新しいスマホ決済サービスです。ゆうちょ口座の情報を事前に登録しておけば、買い物時にスマホアプリのQRコードをかざすだけで支払いが完了します。

企業としてゆうちょPayを導入するメリットは、導入コスト・月額利用料が完全無料なこと。手軽にQRコード決済を使い始めたい方に便利です。また、決済金額は翌営業日に企業の口座に振り込まれるので、早い資金回収が可能です。

パートナー企業としてゆうちょPayを導入するには、ゆうちょの総合口座が必要です。

ゆうちょBizダイレクト

ゆうちょのインターネットバンキングは今まで無料のゆうちょダイレクトのみで、法人利用に特化したものがありませんでした。しかし2019年4月1日より、法人のニーズに特化した「ゆうちょBizダイレクト」が導入されました。

例えば、年間数万件といった大量の振り込みがある場合、Bizダイレクトの総合振込サービスを使えば安く簡単に管理できます。また指定の日時に払い込みを行う自動払い込みのサービスで集金・収納事務の効率化も可能。さらに従業員への給与の支払いにも特化したインターネットバンキングの形です。

ゆうちょ銀行の法人口座のその他注意点

ゆうちょ銀行は一般的な銀行とは異なる規制があるので注意が必要です。例えば、ゆうちょ銀行は預け入れ限度額が1,300万円までと定められています。そのため、事業の規模が大きい会社には不向きであるといえます。

今までゆうちょは厚生年金保険料などの社会保険料の口座引き落としに対応していなかったため、ゆうちょ口座を持っている人は毎月ATMに出向いて手動で支払う必要がありました。しかし2019年4月より、ゆうちょ銀行も社会保険料の口座引き落としに対応するようになりました。

ゆうちょ銀行の法人口座開設方法と必要な書類

以下はゆうちょ銀行で法人口座を開設する具体的な方法です。ゆうちょの場合、個人口座と法人口座の開設方法に違いはなく、必要となる書類のみが異なってきます。

【口座開設方法】

  • 必要書類(後述)を用意・記入する 

  • 口座を開設したいゆうちょ銀行の支店に来店する

  • 申込書の記入し、書類の確認を行う

  • 申し込み手続きが完了したら、ゆうちょ側が書類の審査を行う(2週間程度)

  • 審査に通れば、登録住所に郵送で通帳が届く

【法人口座開設に必要な書類】

  • 法人の履歴事項全部証明書(原本)※1、2

  • 来店者の公的な本人確認書類(運転免許証等、顔写真付きの証明書類)

  • 来店者と法人の関係を証する書類(委任状等)

  • 法人番号が確認できる書類(法人番号通知書等)

  • 法人の印鑑証明書(原本)※1

  • 代表者印の押印がある(主要)株主名簿または(主要)出資者名簿

  • 設立後6か月以内の場合は次の書類のいずれか

  1. 所轄税務署あての法人設立届出書(控)
  2. 所轄税務署あての青色申告承認申請書(控)
  3. 主たる事務所の建物登記簿謄本(現在事項証明書)(原本)※1
  4. 主たる事務所の賃貸借契約書(原本)

※1 発行日から6か月以内のものに限る

※2 支店又は事業所名等で口座開設する場合は、履歴事項全部証明書に加え、支店または事業所等の住所を確認できる書類(会社の組織図や公共料金等の領収書等)が必要

ゆうちょ銀行の法人口座審査は「ゆるい」のか?

ゆうちょ銀行の法人口座について、「審査がゆるい」という声が多数聞かれます。ゆうちょ側は審査に関して、

当行貯金事務センターにおいて、口座開設にかかる審査を実施し、後日、審査結果をご連絡します。※審査にはおおむね2週間かかります。※審査の結果、ご希望にそえない場合がございます。

と明言しています。もちろん全ての法人が審査に通っているわけではないので、必要書類を欠かさず全て用意して、備えあれば憂いなしの完全状態で臨むようにしましょう。

ゆうちょ銀行の法人口座メリット・デメリットまとめ

最後に、ゆうちょ銀行で法人口座を持つメリットとデメリットをまとめました。

【メリット】

  • 手数料が基本的に安い(ATM入金・出金、ゆうちょあての振り込みは特にお得)

  • ネットバンキング無料、法人専用のゆうちょBizダイレクトも安い

  • 2019年5月から始まるゆうちょPayを導入したい企業にはおすすめ

  • 全国に支店・ATMがあり、知名度も高い

  • 審査が比較的易しいという噂も

【デメリット】

  • 他行宛の振込手数料は安いとは言えない(例えばジャパンネット銀行は半額以下)

  • 預入限度額が1,300万円と低い

  • 為替手数料も考慮すると、海外送金が安いとは言えない(海外とのやり取りが多い企業は、Wiseなどを検討してみましょう)

ゆうちょ銀行の法人口座に関する問い合わせ先

ゆうちょ銀行での法人口座に関して分からないことがあれば、以下に問い合わせてみましょう。

【法人の問い合わせ全般】

ゆうちょ銀行の法人向けの問い合わせは、事業所と同じ都道府県にあるゆうちょ銀行支店・店舗の法人サービス部に尋ねる必要があります。各支店・店舗の法人サービス部の電話番号は、こちらで確認できます。

【ゆうちょダイレクトに関する問い合わせ】

電話:0120-992-504(通話料無料)

受付時間:平日 8:30~21:00、土・日・休日 9:00~17:00(12月31日~1月3日は、9:00~17:00)

【ゆうちょBizダイレクトに関する問い合わせ】

電話:0120-230930(通話料無料)

受付時間:平日 9:00~18:00(土・日・休日・12月31日~1月3日を除く)

【ゆうちょPayに関する問い合わせ】

電話:0120-387-186(通話料無料)

受付時間:(加盟店さまからのお問い合わせ)24時間(年中無休)


以上、ゆうちょ銀行で法人口座を開設する方法などを見てきました。ゆうちょの法人口座にはゆうちょあての振り込みやネットバンキングの利用料が安いなどといったメリットがありますが、逆にデメリットとなりうることも多くあります。最も重要なのは、自分の会社のニーズをしっかりと把握し、比較検討したうえで法人口座を開設する銀行を選ぶことです。

ゆうちょ銀行の海外送金サービスは、送金手数料こそは安いものの為替手数料で高いコストがかかってしまうので、特に高額な取引をする場合にはお得とは言えません。海外とのやり取りが多い企業は、ぜひWiseの利用を検討してみましょう。


ソース

  1. https://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/press/2018/pdf/pr180713_2.pdf
  2. https://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/sokin/koza/kj_sk_kz_furikae.html
  3. https://www.jp-bank.japanpost.jp/ryokin/rkn_others.html
  4. https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2019/201904/2019040106.html
  5. https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/ebservice/account/ebusiness/charge.html
  6. https://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/press/2019/pdf/pr190313.pdf
  7. https://faq.jp-bank.japanpost.jp/faq/show/2174?category_id=192&site_domain=default
  8. https://www.jp-bank.japanpost.jp/contact/ctt_index.html
  9. https://www.smbc.co.jp/kojin/kaigaiservice/gaikokusoukin/index02.html

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*最新の手数料に関する情報は、お住まいの地域の利用規約およびサービスの利用条件をご確認いただくか、Wiseの手数料ページをご覧ください。これは一般的な情報提供を目的としたものであり、Wise Payments Limitedまたはその子会社、関連会社による法律、税務、その他の専門的なアドバイスを意味するものではありません。また、ファイナンシャルアドバイザーやその他の専門家によるアドバイスの代わりになるものではありません。



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