MT103とは?SWIFT送金の控え・支払い証明をわかりやすく解説

Sasha Kiyokawa

MT103とは

海外送金で「MT103を提出してください」と言われ、何の書類なのか迷ったことがある人もいるかもしれません。MT103は、SWIFTネットワークを使った国際送金で使われてきたメッセージ形式のひとつで、送金が行われたことを確認する資料として扱われることがあります。

ただし、国際送金で使われるメッセージ形式は変わっています。2025年11月以降、SWIFTを使った国際決済ではISO 20022が標準となり、MT103に代わってpacs.008などの新しい形式が中心になっています。

この記事では、MT103とは何か、どんな情報が載っているのか、どのような場面で銀行などに依頼するのか、ISO 20022への移行後に何を確認すべきかを、日本の読者向けにわかりやすく解説します。

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MT103とは?

MT103は、SWIFTネットワークで使われてきた「Single Customer Credit Transfer(顧客送金)」のメッセージ形式です。銀行などの金融機関が国際送金の情報をやり取りするときに使うMT形式のメッセージのひとつで、送金人、受取人、金額、通貨、関係銀行、手数料の負担区分などが含まれます。¹ᐩ²

SWIFT: 世界中の銀行や金融機関が、国際送金などの情報を安全にやり取りするためのネットワークです。
MT形式: SWIFTで長く使われてきたメッセージ形式です。送金内容を決まった項目に分けて記載します。

利用者にとっては、MT103は「送金が行われたことを示す資料」として使われることがあります。たとえば、受取人側で入金を確認できない場合や、送金トラブルの調査が必要な場合に、送金元の銀行へMT103の控えを依頼するケースがあります。

ただし、MT103そのものは一般の利用者が作成する書類ではなく、金融機関同士でやり取りされるメッセージです。利用者が受け取る場合は、銀行が発行する送金控え支払い証明のような形になるのが一般的です。


現在もMT103は使われている?

SWIFTは、国際決済で使うメッセージの標準をISO 20022へ移行しています。SWIFTの公式発表では、従来のMT形式との共存期間が2025年11月22日に終了し、ISO 20022が国際決済の標準として採用されたと説明されています。³

ISO 20022: 国際決済などの金融メッセージを、より整理された形式でやり取りするための新しい国際標準です。

そのため、現在はMT103そのものよりも、ISO 20022のpacs.008などのメッセージ形式が中心です。ISO 20022のメッセージ定義では、pacs.008は金融機関間で顧客の送金情報をやり取りするためのメッセージとして掲載されています。⁴

pacs.008: ISO 20022で使われる送金メッセージのひとつです。簡単にいうと、MT103に近い役割を持つ新しい形式です。

一方で、移行直後の実務では、MT103やMT103 STPなど一部のMT形式の決済メッセージが、例外的な対応としてISO 20022形式へ変換される場合があります。SWIFTは、2025年11月22日以降の一部MT形式の決済メッセージについて、このような変換処理が発生し得ると説明しています。⁵


MT103はどんなときに必要?

MT103は、海外送金のたびに必ず必要になるものではありません。通常は、オンラインバンキングの取引履歴や送金控えで足りることもあります。

一方で、次のような場面では、送金元の銀行や送金サービスにMT103または同等の支払い証明を依頼することがあります。

  • 受取人が入金を確認できない
  • 送金が通常より遅れている
  • 中継銀行や受取銀行で調査が必要になった
  • 送金人と受取人の間で支払い済みかどうかを確認したい
  • 取引先や金融機関から支払い証明の提出を求められた

MT103を発行できるか、手数料がかかるか、発行まで何日かかるかは、金融機関によって異なります。必要になった場合は、送金元の銀行やサービスに早めに問い合わせましょう。


MT103にはどんな項目がある?

MT103には、送金を識別し、銀行間で処理するための情報が載っています。SWIFTのMT103関連資料や、FINTRAC(カナダ金融取引・報告分析センター)のSWIFT報告仕様では、代表的な項目として以下のような情報が扱われています。²ᐩ⁶

項目内容
:20取引参照番号(Transaction Reference Number)
:23B銀行取引コード(Bank Operation Code)
:32A決済日、通貨、銀行間決済額
:33B通貨、元の送金指図額
:50A/F/K送金人(Ordering Customer)
:52A/D送金人側の金融機関
:53A/B/D送金側の経由銀行
:54A/B/D受取側の経由銀行
:56A/C/D中継銀行
:57A/B/C/D受取銀行
:59 または :59A受取人
:70送金目的・支払い参照情報
:71A手数料負担区分(BEN、OUR、SHAなど)
:72送金銀行から受取銀行への追加情報
:77B規制報告に関する情報

BEN・OUR・SHA: 海外送金の手数料を誰が負担するかを示す区分です。BENは受取人負担、OURは送金人負担、SHAは双方で分担する形です。

実際に表示される項目や名称は、銀行、取引内容、メッセージ形式、ISO 20022への変換状況によって異なる場合があります。


MT103とpacs.008の違い

MT103は、従来のSWIFT MT形式で、決まった項目に沿って情報を記載します。一方、pacs.008はISO 20022の形式で、より整理された、詳しい情報を扱える点が特徴です。³ᐩ⁴

SWIFTは、ISO 20022への移行により、より詳しく整理された決済情報を扱えるようになると説明しています。³

送金する人が、メッセージ形式そのものを直接操作する場面はほとんどありません。ただし、銀行間でやり取りされる情報がより整理されることで、送金調査、法令・規制に関する確認、照合などが進めやすくなる可能性があります。


MT103の依頼方法

MT103または同等の支払い証明が必要になったら、送金を行った銀行や送金サービスに問い合わせます。依頼時には、送金日、送金額、通貨、受取人名、受取銀行、取引参照番号などを手元に用意しておくとスムーズです。

銀行によっては、オンラインバンキングから発行を依頼できる場合もあれば、窓口やカスタマーサポートへの連絡が必要な場合もあります。発行手数料がかかったり、発行まで数営業日かかったりすることもあります。

2025年11月以降の送金では、銀行によって「MT103」ではなく、pacs.008やISO 20022形式の支払い情報、送金控え、トラッキング情報など、別の名称で案内される可能性もあります。提出先に、どの形式の証明が必要かを確認しておくと安心です。


Wise(ワイズ)で海外送金をもっとわかりやすく

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海外送金では、いつ届くのか、手数料はいくらか、受取人がいくら受け取るのかを事前に確認できることが大切です。

Wiseでは、送金前に手数料、為替レート、受取額を確認できます。市場の実勢レートであるミッドマーケットレートを使い、手数料も事前に表示されるため、銀行のSWIFT送金と比べながら総コストを把握しやすいのが特徴です。

【Wiseで海外送金する際の特徴】

  • 手数料と受取額の目安がわかる:送金前に、手数料や受取人に届く金額の目安を確認できます。
  • 為替レートがわかりやすい:市場の実勢レートであるミッドマーケットレートを使って送金できます。
  • オンラインで手続きできる:パソコンやスマートフォンから送金手続きができます。
  • まとまった金額の送金にも対応:高額送金が必要な場合は、Wiseの高額送金も確認できます。

日本から海外へ送金する場合は、Wiseの海外送金ページで送金額と通貨を入力すると、手数料や受取額を確認できます。法人の海外支払いには、Wise(ワイズ)法人アカウントも選択肢になります。

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まとめ

MT103は、SWIFT送金で使われてきた支払いメッセージで、送金の証明や調査資料として使われることがあります。送金人、受取人、金額、通貨、関係銀行、手数料負担区分など、送金処理に必要な情報が含まれています。

ただし、SWIFTを使った国際決済ではISO 20022への移行が進み、現在はpacs.008などの形式が中心です。送金証明が必要な場合は、提出先が求める資料名や形式を確認したうえで、送金元の銀行やサービスに問い合わせましょう。


出典
  1. Swift - Who we are - https://www.swift.com/about-us/who-we-are - SWIFTの概要、金融メッセージングサービス
  2. Swift - Mastering the Single Customer Credit Transfer (MT 103) - https://www.swift.com/de/node/308623 - MT103、MT202 COV、手数料負担区分などの研修情報
  3. Swift - ISO 20022: A new era for global payments - https://www.swift.com/news-events/news/iso-20022-new-era-global-payments - ISO 20022への移行、2025年11月22日の共存期間終了、構造化データ
  4. ISO 20022 - ISO 20022 Message Definitions - https://www.iso20022.org/iso-20022-message-definitions?search=pacs.008 - pacs.008のメッセージ定義
  5. Swift - ISO 20022 in bytes for payments: Make the leap to ISO 20022 - https://www.swift.com/news-events/news/iso-20022-bytes-payments-make-leap-iso-20022 - 2025年11月22日以降のMT形式の決済メッセージと例外的な対応
  6. FINTRAC - SWIFT Batch Reporting Instructions and Specification - https://fintrac-canafe.canada.ca/reporting-declaration/swift/swift-eng - MT103の代表的なフィールドとSWIFT報告仕様
    参照日:2026年8月26日

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