海外取引の決済方法を徹底解説|貿易取引のL/C・D/P・D/A決済とリスク軽減策

Hikaru Osaka

貿易取引における決済方法についての画像

海外の取引先との売買では、代金をどのような方法でやり取りするかがリスクを大きく左右します。本記事では、貿易取引で使われる主な決済方法と、代金回収リスクを軽減する7つの方法を解説します。

記事の最後には、海外取引に伴う支払い・入金・外貨管理を1つのアカウントで行えるWise(ワイズ)法人アカウントについてもご紹介しています。

Wise(ワイズ)法人アカウントなら、海外の仕入先・業者・従業員への支払い、海外顧客からの代金受け取り、複数通貨での資金管理をまとめて行えます。

送金前に手数料・為替レート・受取額の目安を確認でき、両替にはミッドマーケットレートが使われるため、海外取引で発生しやすい為替コストも把握しやすくなります。

また、米ドルやユーロ、シンガポールドル、イギリスポンドなど主要通貨での受け取りに使える口座情報も取得できます。

貿易取引や海外ビジネスで継続的に外貨の支払い・受け取りが発生する企業や個人事業主の方は、Wise(ワイズ)法人アカウントも選択肢の1つとして検討してみてください。

Wise(ワイズ)アカウントについて 💡

※本記事の情報は2026年7月29日時点の情報を参照しています。そのため、この内容が正確または、最新であることを表明または保証しません。また、本記事の内容は、あくまで参考情報として作成されています。専門的な意見・アドバイスが必要とされる場合、口座をお持ちの銀行やその他の専門家にお問い合わせください。


海外取引・貿易取引で使われる決済方法

海外取引・貿易取引で使われる決済方法についての画像

海外取引の決済方法は数多くあるように見えますが、整理すると 「代金の請求と資金がどちら向きに流れるか」 という1つの軸で理解できます。

輸出者が代金を取りに行く形、つまり輸出者が振り出した為替手形を銀行経由で輸入者に呈示し、その支払いによって資金が戻ってくる流れを「逆為替」と呼びます。荷為替手形を使う決済方法がこれにあたります。

荷為替手形とは、輸出者が振り出した為替手形に、船荷証券(B/L)やインボイスなどの船積書類を添付したものです。原則として船積書類がなければ輸入者は商品を受け取れないため、書類そのものが代金回収の担保として機能します。

一方、輸入者が自分から代金を送る形、つまり支払いの指図と資金が同じ向きに流れるものを「並為替」と呼びます。

銀行を通じた外国為替送金(T/T送金)や、郵便局・ゆうちょ銀行の国際送金がこれにあたります。手続きは簡単ですが、書類を担保にする仕組みがないため、代金を回収できるかどうかは取引相手の信用そのものにかかってきます。

また、決済の「手段」とは別に、支払いのタイミングという論点があります。同じ外国為替送金でも、商品を出荷する前に支払ってもらう(代金前払い)か、出荷後に支払ってもらうかで、輸出者と輸入者が負うリスクは正反対になります。

それでは、それぞれの決済方法を順に見ていきましょう。

信用状付荷為替手形決済

信用状(L/C:Letter of Credit) とは、輸入者の依頼を受けた銀行が輸出者に対し、「条件どおりの船積書類が呈示されれば、輸入者に代わって代金を支払う」と約束する文書です。

信用状発行銀行の支払確約に基づくため、代金回収リスクは輸入者から信用状発行銀行へ移ります。

具体的な流れは、以下の通りです。

  1. 発行依頼:輸入者が取引銀行にL/Cの発行を依頼する
  2. 通知:L/Cが輸出地の銀行を経由して輸出者に届く
  3. 船積み・買取:輸出者は商品を出荷し、船荷証券(B/L)などの船積書類に為替手形を添えて取引銀行に買い取ってもらう
  4. 決済:輸入者が代金を支払って書類を受け取り、船荷証券と引き換えに商品を引き取る

信用状付荷為替手形決済のメリット

代金回収リスクが取引相手から銀行へ移ることが最大のメリットです。経営状況が見えにくい新規の相手でも、輸出者が負うのは銀行の信用リスクにとどまり、船積書類を揃えた段階で手形を買い取ってもらえるため早期に資金化できます。

輸入者にとっても、条件を満たす書類がなければ支払いは行われないため、商品が出荷されないまま資金を失う事態を避けられます。

信用状付荷為替手形決済のデメリット

輸入者には銀行の与信枠と発行手数料が必要で、手続きも煩雑です。書類が条件どおりであれば代金は支払われるため、届いた商品に問題があっても支払いを止めることはできません。

輸出者側の注意点は、銀行が確認するのは書類のみという点です。日付や品名の表記にわずかな不一致があるだけで、支払いを拒絶される可能性があります。


信用状なし荷為替手形決済

信用状を用いず、船積書類を担保に代金を回収する方法です。輸出者は船荷証券やインボイスなどの船積書類に為替手形を添えて、取引銀行経由で輸入者の取引銀行に送付します。輸入者は書類を受け取ることで、船会社から商品を引き取れるようになります。

書類を渡す条件によって、2種類に分かれます。

  • D/P(Documents against Payment):輸入者の支払いと引き換えに船積書類を渡す条件。一覧払いが基本で、輸出者は比較的早く代金を回収できます。
  • D/A(Documents against Acceptance):輸入者が手形を引き受ける(支払いを確約する)のと引き換えに船積書類を渡す条件。輸入者は商品を先に受け取り、期日に支払います。

なお、D/P・D/Aという用語は本来、船積書類の引渡条件を意味するものです。輸入者による代金支払いの保証がないため、実務上は代金取立(B/C:Bill for Collection)扱いとなります。

信用状なし荷為替手形決済のメリット

船荷証券と引き換えに輸入者が支払いまたは支払確約を行う仕組みのため、代金を回収できないまま商品だけが渡ってしまう事態を避けやすく、T/T送金に比べれば輸出者にとって安心な方法といえます。

輸入者にとっては、信用状を開設する費用や手間を省ける点がメリットです。

信用状なし荷為替手形決済のデメリット銀行の支払確約がないため、輸出者は輸入者自身の決済リスクを負うことになります。とくにD/Aは、商品が先に引き渡されたうえで支払いが期日まで猶予されるため、手形期日に不払いとなる可能性があります。

対策としては、銀行に手形を買い取ってもらったうえで貿易保険の「輸出手形保険」を付保する方法や、国際ファクタリングの利用が挙げられます。


外国為替送金

輸入者が銀行を通じて代金を送金する方法です。荷為替手形のように書類を担保にする仕組みはなく、支払いの指図と資金が同じ方向に流れます。手続きが簡単でコストも低いため、現在の海外取引ではもっとも広く使われています。¹

  • T/T(Telegraphic Transfer:電信送金):輸入者が取引銀行に送金を依頼し、銀行間で電信によって支払指図が送られ、受取人の口座に入金される方法。現在の外国為替送金はほぼこの方式です
  • D/D(Demand Draft:送金小切手):銀行が振り出した小切手を輸入者が輸出者に郵送し、輸出者が現地の銀行で換金する方法

ただしD/Dは、日本国内では実質的に選べなくなっています。例えば、三菱UFJ銀行は2020年に外国送金小切手の発行受付を終了しました。海外取引の送金手段としては、T/T送金が事実上の選択肢と考えてよいでしょう。

外国為替送金のメリット

信用状の開設や船積書類の作成が不要で、送金手続きだけで決済が完了します。手数料も他の方法に比べて低く抑えられ、着金までの日数も短くて済みます。

取引のたびに銀行の与信枠を使う必要がないため、信頼関係が確立した相手との反復的な取引や、少額の取引に向いています。

外国為替送金のデメリット

銀行はあくまで資金を運ぶ役割を担うだけで、支払いを保証するわけではありません。船積書類を担保にする仕組みもないため、代金を回収できるかどうかは取引相手の信用力次第となります。

商品の出荷後に支払ってもらう条件であれば輸出者が、前払いであれば輸入者が、それぞれ大きなリスクを負うことになります。


郵便局・ゆうちょ銀行を使った国際送金

かつては郵便局の窓口で国際送金を申し込めたため、「国際送金取扱郵便局」を探す方も少なくありません。しかし現在、この方法は取り扱いが変わっています。

ゆうちょ銀行の店舗および郵便局の窓口では、国際送金を取り扱っていません。利用できるのはWebサービス「ゆうちょの国際送金」のみです。

また、このサービスは個人限定です。送金できる金額は、申し込み時の適用レートによる日本円換算で以下に制限されています。²

  • 1回あたり100万円未満
  • 1日あたり200万円以下
  • 1か月あたり500万円以下

つまり、法人としての貿易取引の決済に使うことはできず、個人が海外の家族へ送金するといった用途に限られる方法です。

郵便局・ゆうちょ銀行を使った国際送金のメリット

普段からゆうちょ銀行の口座を使っている個人であれば、新たに他行の口座を開設せずに送金手続きができます。オンラインで完結するため、窓口へ出向く必要もありません。

郵便局・ゆうちょ銀行を使った国際送金のデメリット

法人が利用できず、送金額の上限も設定されているため、貿易取引の決済手段としては選択肢に入りません。窓口での手続きができない点も、はじめて国際送金を行う方にとってはハードルとなります。


代金前払い

代金前払いは、商品を出荷する前に輸入者が代金を支払う条件です。決済の手段そのものではなく、外国為替送金(T/T送金)を「いつ行うか」を定めたもので、実務では前払送金とも呼ばれます。

代金全額を前払いとする場合のほか、契約時に一部を支払い、残額を船積み後に支払う分割の形も広く使われています。少額の取引や初回のサンプル出荷など、限られた場面で使われるのが一般的です。

代金前払いのメリット

輸出者は代金回収リスクをほぼ負いません。取引相手の信用調査や銀行の与信手続きも不要で、入金を確認してから出荷すればよいため、手続きも最小限で済みます。

輸入者側にとっても、信用状の開設費用や手形の事務が発生しないという利点はあります。

代金前払いのデメリット

輸入者にとっては、商品が届かない、契約と異なるものが届くといったリスクをすべて引き受ける条件となります。相手が海外の企業である以上、トラブルが起きた際に代金を取り戻すのは容易ではありません。

輸出者側から見ても、この条件を提示できるのは交渉力がある場合に限られ、相手に受け入れられずに商談自体が進まない可能性があります。


海外取引の決済リスクを軽減する方法

海外取引の決済リスクを軽減する方法についての画像

決済方法を選んだうえで、さらに代金回収リスクを抑える手段があります。ただし、いずれも手続きや費用の負担が伴うため、取引の規模や相手先に見合うかどうかを見極めることが大切です。

一部前払いを設定する

代金の一部を契約時や生産着手時に受け取り、残額を船積み後に回収する方法です。全額前払いより輸入者に受け入れられやすく、輸出者も未回収額を抑えられます。

前払い分に対応する製造・出荷の義務が生じるため、契約書で条件を明確にしておく必要があります。

貿易保険を利用する

貿易保険は、日本の企業が行う海外取引の輸出不能や代金回収不能をカバーする保険です。保険料率は保険種や仕向国、取引先のリスクによって変わります。

ただし引受けには、取引の相手先がNEXIの海外商社名簿に掲載され、一定以上の格付であることが必要です。NEXIが独自に行う与信審査で付与される「バイヤー格付」が基準となるため、相手先によっては引受けを断られることもあります。³⁺⁴

確認信用状を利用する

確認信用状は、発行銀行の支払確約に別の銀行の確約を付け加えた信用状です。発行銀行の信用力や所在国のカントリーリスクに不安がある場合に有効ですが、確認銀行の手数料が上乗せされます。

確認を付けるかどうかの決定権は確認銀行側にあり、L/Cに「Confirmed」の記載があっても確認銀行からの通知がなければ確認信用状とはいえない点に注意が必要です。⁵

スタンドバイL/Cを利用する

スタンドバイL/Cは、輸入者の不払いに備えて発行される信用状で、支払保証として機能します。D/A決済を受け入れる条件として要求する使い方が代表的で、支払期日に支払われなかった場合、輸出者は契約不履行を証明するレターを取引銀行経由で発行銀行に呈示して支払いを受けられます。⁶

輸入者側に銀行与信が必要なため、応じてもらえるかは交渉次第です。

国際ファクタリングを利用する

国際ファクタリングは、ファクタリング会社が輸入者の信用を保証する仕組みです。信用状の発行が難しい場合でも、代金回収リスクを回避できます。

ただし、カバーされるのは輸入者の不払いなど信用事故のみで、非常危険やマーケットクレームのような係争事由は担保されません。利用できる国にも制限があり、比較的大口の取引に用いられるため、手数料の負担と併せて検討が必要です。⁷

フォーフェイティングを利用する

銀行が輸出手形を買い取る取引のうち、手形が不払いになっても輸出者に買戻しを要求しない、遡及権を放棄した形のものです。代金回収リスクだけでなくカントリーリスクからも解放されますが、対象は期限付手形に限られ、通常はL/C付取引が前提となります。

コストは買取利息として買取代金から差し引かれます。また、船積書類がL/Cの条件と合わずに発行銀行が引受をしない場合は実行されないため、書類の作成には注意が必要です。⁸

契約書に決済条件を明記する

支払期日、通貨、送金手数料の負担区分、インコタームズ、準拠法と紛争解決地までを、売買契約書に具体的に定めておきます。

決済条件が曖昧なままだと、不払いや支払い遅延が起きたときに交渉の拠り所がなくなります。特別な手続きや費用が発生する対策ではないため、決済方法を問わず取引の最初に済ませておきたい対策です。


海外送金・受取・外貨への両替をたった1つのアカウントで:Wise(ワイズ)法人アカウント

Wise image

海外取引では、決済方法そのものに加えて、送金手数料、為替レート、着金までの時間、外貨の受け取り方法を事前に確認しておくことが大切です。特に、海外の仕入先への支払い、海外顧客からの入金、複数通貨での資金管理が発生する場合は、取引ごとのコストや進捗を見える形で管理できると安心です。

Wise(ワイズ)法人アカウントでは、1つのアカウントで海外送金、外貨の受け取り、両替、複数通貨の管理ができます。送金前に手数料と受取額の目安を確認でき、両替にはミッドマーケットレートが使われます。まとまった金額を送金する場合は、送金額に応じて手数料の割引が適用される場合もあります。

また、Wiseでは米ドルやユーロ、シンガポールドル、イギリスポンドなど主要通貨での受け取りに使える口座情報を取得でき、海外顧客からの支払い受け取りや、入金後の外貨管理にも活用できます。

支払い・受け取り・資金管理を分けて考えるのではなく、海外取引に必要なお金の流れをまとめて管理したい企業や個人事業主の方は、Wise(ワイズ)法人アカウントを確認してみてください。

Wise(ワイズ)アカウントを開設する 🚀


まとめ

海外取引の決済方法は、信用状付荷為替手形決済から外国為替送金まで幅があり、輸出者と輸入者のどちらがリスクを負うかがそれぞれ異なります。取引相手や金額に応じて選びましょう。

Wise(ワイズ)法人アカウントなら、40以上の通貨を1つのアカウントで送金・受け取り・両替でき、両替には為替手数料が上乗せされていないミッドマーケットレートが適用されます。

Wise image

※本記事の情報は2026年7月29日時点の情報を参照しています。そのため、この内容が正確または、最新であることを表明または保証しません。また、本記事の内容は、あくまで参考情報として作成されています。専門的な意見・アドバイスが必要とされる場合、口座をお持ちの銀行やその他の専門家にお問い合わせください。


出典:

  1. 国内他行払送金小切手等の受付終了のお知らせ | 三菱UFJ銀行
  2. 「ゆうちょの国際送金」(日本から外国への送金)
  3. 貿易保険とは
  4. 貿易保険総合パンフレット
  5. 信用状(L/C)発行銀行の信用リスクと確認信用状(Confirmed L/C) | 貿易・投資相談Q&A
  6. 輸出取引における決済方式の変更を依頼された際の留意点:日本 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る - ジェトロ
  7. 国際ファクタリングの仕組み:日本 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る - ジェトロ
  8. フォーフェイティング:日本 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る - ジェトロ

*最新の手数料に関する情報は、お住まいの地域の利用規約およびサービスの利用条件をご確認いただくか、Wiseの手数料ページをご覧ください。これは一般的な情報提供を目的としたものであり、Wise Payments Limitedまたはその子会社、関連会社による法律、税務、その他の専門的なアドバイスを意味するものではありません。また、ファイナンシャルアドバイザーやその他の専門家によるアドバイスの代わりになるものではありません。



当社は明示的または黙示的にかかわらず、この内容が正確、完全または最新であることを表明または保証しません。

国境のない金融

詳しくはこちら

役立つ情報、ニュース、お知らせ